庭の管理

森の中の分譲地 千葉県長柄町 平成22年7月31日

 長柄町は千葉県の真ん中あたりの山間部にあります。ここに長柄ふるさと村という、森に囲まれた、住宅地や別荘地が佇んでおります。
今日は、このふるさと村に住むIさんの住まいの森の手入れにうかがいました。
私たちがこの森の手入れに入るのは今回が初めてです。手入れといっても、大木の剪定ですので、ほとんどチェーンソーでの作業です。

 

Iさんがここに住み始めた時から、ここにはイチョウや桜、イヌシデ、コナラの森がありました。私が初めてこの森を見たのは5年くらい前のことです。
この森を初めて見た時、私が思ったことは、成長の早い雑木やイチョウが混在している中、森自体あるいは幹枝の健全な更新がなされるよう、光と風の管理をしていかねば、この森は老化して、後の管理が難しくなるだろうと、感じました。

しかし、この森の住環境をとても愛されるIさん夫妻、管理の方向性を決断していただくのに5年の歳月を要しました。
5年間で、こうして中途半端に人の手が入った森が、どのように変化してゆくか、じっくりと観察された末に、手を入れる決断をされました。

 森の管理で大切なことは光と風です。今回、外周のイチョウの木を大きく切り詰めました。また、風道を塞いている大きな下枝を根元から払い落していきます。
 外周の大木を頭切りして風が入り込むようになると、室内の湿度が10パーセントくらい減少すると、お施主様がおっしゃられました。
 湿気のこもった森は住環境にはふさわしくありません。住まいの環境としての快適な森、それでいて美しい森を維持するということは、それなりのつぼを抑えなければなりません。

 雑木の庭では、コナラやクヌギなど、自然の雑木を用いて庭を作ります。これらの自然樹木を庭に取り入れるとき、こうした野生の木々はたくましく成長し、手入れの仕方を間違えると暴れだし、放っておくとあっという間に大木になるいうことをも理解して扱わないといけません。本来は豊かな森の樹冠を構成する樹種なのですから、甘く見てはいけません。

 住環境の森、それは適度に日差しが差し込み、風が抜ける快適な森、そして、人間にとって快適な環境こそ、木々にとっても健康でいられる環境なのでしょう。
 
  
 
 

株式会社高田造園設計事務所様

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