千葉県佐倉市の民家解体 平成22年9月28日
城下町佐倉市の入母屋民家の解体が始まって10日が過ぎました。
入母屋2階部分の壁が外されて、構造体が見えています。この2階部分をそっくりと再生し、平屋の入母屋家屋を建てます。
そのため、解体作業は部材の取り外しを伴うために時間と手間をかけて行います。
2階屋根裏の小屋組みの様子です。アカマツの通し梁と梁とが力強く組み合わさっている様子に圧倒されます。
民家の古材はとても貴重な再生資源になります。古来から日本の民家はこうして古材を何度も解体しては修繕し、あるいは再生し、数百年という木材の寿命を大切に活かしぬいてきたのです。
その試みに、今回はチャレンジです。これから慎重にこの小屋組みを取り外していくのです。
1尺間隔で配された太い檜の化粧垂木が、桁を支点にして、天秤のように軒先の重量を支えている様子が分かります。
1階部分の屋根裏の梁と小屋束の合わせの表情。かつての大工の仕事ぶりがうかがえます。
この見事な梁は、この敷地に新たに建てる予定の2台分の車庫の梁として再生利用します。
同じく、1階部分の屋根裏の小屋組みの様子です。これほどの材は今はほとんど入手できないので、大切に再生されることが大切です。
解体後処分されれば長大なごみになってしまいますが、丁寧に取り解いて再生すれば、それは素晴らしく貴重な資源になります。
もったいない。再生できるものは再生したい。そんな思いで大工さんと解体屋さんと一丸になって解体作業を進めています。
1階部分の天井板や長押などの造作材、杉丸太の見事な縁桁もすべて取り外して使います。
こうした古い民家の解体作業の中では、今となってはまたと手に入らない素晴らしい材料が数多く取れます。
今、ハウスメーカーはもちろん多くの工務店は、手間ばかりかかるこうした作業を嫌がってやりません。
「壊して捨てて、新しく建てたほうが安上がりだ。」などと言います。
そんな考え方で建てられる家はもちろん長持ちするはずがありません。住む人に飽きられて寿命を待たずに取り壊されるという、そんな悪循環を作っているのです。
そして、日本の素晴らしい民家は今後次々に消えていきつつあります。
そんな風潮に危機感を持つ人も多く、古民家再生の動きも活発化してきました。
自然の理にかなったゆえの快適な住宅のあり方、環境負荷のない住まいつくり、こうしたことを追求する先に、かつての日本の民家があるのでしょう。温故知新というものです。
今回、こうした仕事ができるのも、趣旨に賛同して協力してくれる解体業者、大工棟梁、そして理解あるお施主様方々のおかげです。皆様に心から感謝申し上げます。