庭・街・風景に思う

友人 藤倉陽一の作庭    平成23年3月24日

 昨日、小金井市のお客様の家に下見ついでに、私の友人、藤倉さん(藤倉造園設計事務所)の新作拝見させてもらいました。

 落葉樹がまだ葉をつけていない時期であるにもかかわらず、庭はとても爽やかで、ここにずっといたくなるような雰囲気に驚きました。しかも、あっさりした仕上げであるにもかかわらず、完成度が高く、随所に藤倉流の遊び心が散りばめられています。 

 テラスの材料には黒土や赤土を配合して、土のぬくもりを引き出そうとしているようです。
 細部にわたるさまざまな工夫と努力が、庭を面白く美しく見せるのでしょう。
 庭の面積にしては大きいと思えるメインテラスも十分に潤い深い空間としてなじませていて、それがまた、庭を心地よい空間とする上で非常に活かされてきます。
 素材の吟味、形状の吟味が生み出す本物の美しさがこの空間に宿っていました。

 完成直後とは思えないほどに、足元の景はなじんでいます。すごいです。
 レンガの際の処理、黒土を配合した洗い出し仕上げの表情、様々な素材を組み合わせつつも、すべてを調和させてしまうセンスの良さ、そして控えめながらも的確な下草のあしらい、すべてが本当にすばらしく、私はこの小さな庭に、時間を忘れて飽きずに見とれてしまいました。

 この庭の景を引き締める主景となるのが、テラスの先の井戸ポンプです。飾りではなく、実用です。その収め方、周囲の景のまとめ方も見事でした。
 葉をつけていない時期という事もありますが、私の写真ではこの庭の良さの100分の1も伝えきれていません。
 「写真がうまくとれなくて藤倉さんごめん。。。」といったところですが、実際に見なければわからないのが庭というものです。よい庭は必ず、写真では表現しきれないものがあります。

 藤倉さんの最新作、同業の友人であり、わたしにとっての大きなライバルである作庭者が、ますます進化してゆく様子を目の当たりにして、「さて、自分をうかうかしていられない」と、悔しさ半分、本当によい刺激になりました。
 人のつくった庭、庭に対する考え方は自分と違っても、今回のように本当に素晴らしい庭に接する度に、「庭って何だろう」という疑問が湧いてきます。そして、その余韻は何日も続きます。

 そして、今日は、昨日の刺激を噛みしめながら、地元での造園工事に没頭しました。
 

 ウッドデッキや水栓、雑木高木植栽が終わって庭の骨格が見えはじめたところです。
レベルの高い友人の作庭に刺激を受けて、さて、私ももっともっとよい庭を目指して頑張らないといけません。

藤倉造園の皆さま、朝の忙しい時間に突然おじゃましてすいませんでした。

 

 
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