父母の母校にて 平成24年2月17日
成熟した都市樹林の様相を見せる美しい学校の森。ここは千葉大学西千葉キャンパス。
私の地元の大学であり、そして私の父母の母校です。
この度、大学OBクラス会の依頼で、この構内に記念樹を植栽することになり、昨日その打ち合わせのためにキャンパスを訪れました。
それにしても豊かな緑に包まれた美しいキャンパスです。キャンパスを彩る木々はケヤキにクスノキ、シイノキにヤマモモ、ヤマザクラ。千葉の風土に適応する木々たちが大木となって、このキャンパスに歴史の重みと風格をもたらしています。
今回、期せずして記念樹植栽の依頼をいただき、そして昨日、植栽候補地や植栽の仕方を提案させていただきました。
記念樹と言うものは、その性格上、一度植えてしまえば伐ることも移植することも簡単にできるものではなく、その後の長きにわたってその土地の風景の一角となります。
それゆえに、将来にわたってキャンパスのよき風景として、しかもこの地で将来にわたり健全に生育できるよう、責任を持って慎重にその配置や植え方、樹種などを選定しなければなりません。
安易な記念樹植栽がその場所の風景を乱したり、樹種や植え方を誤って、大切な記念樹が衰弱してしまうという例もよく見られます。また、その時の流行の樹種を安易に選んだ結果、その後衰退したり枯死してしまうこともよくあることです。
そんなことでは何のための記念樹植栽なのか、分かりません。
キャンパス全体の風景のつながりを尊重し、そしてふさわしい植栽場所を提案し、そして最適な植栽スペースが与えられました。
長年にわたって健康に生育し、そして今現在から末永い将来にわたってキャンパスの風景に効果的に資する植栽とはどうあるべきか、万全の資料を整えて説明し、そして、植栽が決まりました。
私の提案の植栽は、記念樹ではなく記念樹林の植栽、100年後の将来を見据えた植栽です。
青空に枝葉を広げるキャンパスの大木達。50年近くも前のこと、この空の下で私の父と母は出会いました。
植栽は、3月10日に決まりました。ちょうど、私の父が永眠して1年あまり、そしてあの3.11から丸1年という時です。
父と母が青春を生きたこの地に植栽する機会をいただいたのは、偶然にも私の母の同期の方々でした。
来たる3月10日、私は父の弔いのつもりで心をこめて木立を植栽し、そしてその後は父の墓参りのつもりでその木々の面倒を見続けたいと思います。
不思議な縁で、こんな機会が与えられました。
きっと天国の父が導いてくれたご縁に違いありません。
このような機会を与えていただいた同窓会の方々、大学関係者の方々に心からの感謝を申し上げます。