庭造り

千葉県佐倉市の庭 小川の完成    平成24年8月7日

 飛び飛びの日程で進めている千葉県佐倉市の庭に新たに作った渓流の石組みが終わり、川底の仕上げにかかりました。



 この流れの防水には、コンクリートも防水シートも一切用いることなく、昔ながらの粘土締固めによる工法で、根気よく仕上げました。
 現代はこの工法を知らない人も多いようですが、一昔前までは当たり前の工法で、かつては田んぼの用水路も溜池もすべて、川底の防水には粘土を用いて優しく自然に水辺が作られてきたのです。
 最近はシートやコンクリートで固めて防水するのが主流となりましたが、シートもコンクリートもいずれはゴミとなります。
 粘土であれば、そこは様々な生き物のすみかにもなり、豊かな生態系を育みます。ゴミになるものは一切なく、すべてが自然のままに還元できるし、何回でも再利用できます。
 私が粘土工法にこだわる理由の一つはそんなところにあります。

 写真は、川底の粘土保護のため、砕いた石を配置しています。いかに自然の渓流に見せるか、水の動きが面白く変化に富む表情を作り出せるか、神経を使う細かな作業です。

 川底に敷く砕石は、石を砕いで作ります。渓流の石は大きさも形状も非常に変化に富んでいます。
 袋詰めで販売されている均質な砂利では決して本物の流れの表情は生み出せません。
本来、渓流の川底には、上から転がり落ちて砕けた石が堆積して、ごつごつした形状の川底の風情が生まれます。
 それを作るため、こうして石を割って、一つ一つ石の表情を確かめながら川底に敷いてゆくのです。

 自然に見せるよう、そして水の流れに変化がつくよう、碁石を打つがごとく、全神経を集中して、砕いた石を川底に敷き詰めていきます。

 完成後、循環装置で井戸水を回すと、心地よい水音が庭の空気感を一変させました。
流れに水を流す瞬間、苦労が報われる瞬間です。

 丁寧に仕上げた甲斐があって、水は石にぶつかりながら様々な表情を見せてくれました。

 古民家を再生した離れ屋(写真右)と、同じく古民家の古材を用いて建てた車庫(写真左)の間を、水音を響かせて小川が流れます。そして、庭の園路や飛び石はこの川を渡り、庭を回遊します。

 さて、渓流周辺の植栽仕上げはこれからです。ずっと昔からこの地にあったような、そんな本物の流れと古民家の佇まいに仕上げていきます。
 が、植栽工事の再開はおそらく9月半ばくらいになることでしょう・・。
 この庭の完成予定は10月中旬です。請うご期待!

株式会社高田造園設計事務所様

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