大正堂の森林経営 平成25年7月12日
ここは神奈川県相模原市、老舗家具販売会社 ルームズ大正堂本店の裏山です。
創業101年目となる今年から、大正堂は「森林経営」を新たな事業の柱とすべく、まずは本店の裏山の整備育成から取り掛かります。
本店裏山の一部は、これまで地域住民が土や木と親しむ憩いの場所として開放されてきました。こんなところにも、大正堂の素晴らしい社風と心意気が感じられます。
これからはじまる大正堂の森つくりは、地域住民の方々と共に、長期にわたって進められます。
そして本店でスタートする森林経営の取り組みがいずれ、大正堂全店舗へと広がることでしょう。
この、はてしなく夢の溢れる事業のスタートに、社会福祉法人進和学園と共に、我々高田造園も協力させていただくことになりました。
豊富な緑あふれる本店の裏山は、地域に残る貴重な緑です。身近な自然がますます失われてゆく都市近郊において、この緑地は将来ますますその価値を増すことでしょう。
将来長きにわたって地域の暮らしと生態系を守る豊かな森へと育てるべく、様々な取り組みがこれから始まるのです。
創業101周年記念事業に森林経営を掲げたのはここ1年に満たないことなのに、大正堂の役員方々は本気です。
すでに、森林整備のための樹木ポット苗つくりを始めています。
思い立ったらすぐ行動。ここにも大正堂の社風と、いたたまれなくなるほどの面白さを感じさせられます。
ポット苗トレイのそばに、どんぐりの説明文が貼られています。
「木のことを知ると、ちょっと得した木=気になると思うんだ ワン!」
とあります。100年プラス1(ワン)の記念事業ですので、このワン公が事業のイメージキャラクターとなっているそうです。
森の中には、種やどんぐりの発芽によって木々の赤ちゃんが育っています。
自然に生えてきたこうした実生苗の育成とコントロール、それに欠落した種の補植育成とが、既存の森再生の大きな指針となります。
この日は森の中で育成すべき実生苗に印をつけていきます。
黄緑のシャツの方が大正堂の渋谷社長、正面奥の半袖のダンディな方は環境プランナーの鈴木武氏です。
大正堂本社役員方々が総出で汗を流しながら、山に分け入り熱心に取り組む様子に、この仕事に関わらせていただく幸せを感じ、全身にエネルギーが満たされる思いを感じます。
実生苗の芽吹きが集中するシラカシ母樹の周囲を囲み、苗木育成特別保護区とします。
シラカシの枝先ではすでに、小さなどんぐりの赤ちゃんが点々とつき始めています。
地道な作業となります。保護すべき実生苗が踏まれたり刈られたりしないよう、入念に杭を立てていきます。
たくさんの杭が山の中に林立していきます。杭に用いられたのはなんと、テーブルの脚の廃材でした・・・。
家具屋さんの森でしか決して見られないであろう、異様な光景です・・。面白さのあまり、この光景を何枚も写真に収めます・・。
そしてこちらは本店正面です。
駐車場に接続して潤いのないこの正面広場も、アスファルトを剥がしてたくさんの木々を配していくことになります。
がらりと風景が変わり、緑に包まれた潤う溢れる美しい店舗と駐車場となることでしょう。
店舗エントランス内部です。大きなガラス窓から西日が差し込み、夏は熱気で熱くなります。
この、大きな窓際に豊富な木々を植栽してゆくことで、店舗の快適性はどれほど変わることでしょう。
とても楽しみな仕事です。
本店の屋上から周囲を眺めると、取り残されたような緑が周囲に今も点在してきます。
失われてゆくことの多い都市部の自然、大正堂の森つくりから始まって地域の森が生き物のネットワークとして繋がっていけばどれほど素晴らしいことでしょう。
この事業を通して知り合うことのできました環境プランナーの鈴木武氏のイラストです。
「本気の種」は無限の可能性を秘めています。愛と心で気(木)が育ち、そして時間をかけて晩成していきます。
そして、木を育てることは人を育てること、自分を育てること。
一つの事業にたくさんの「本気」が結集し、そこにたくさんの出会いや感動が生まれます。だからこそ、何事も本気で取り組むことが大切です。
大正堂の森林経営、地域住民の方々と共に進める長大な計画のスタートです。