地元県内の庭つくり過程 2件 平成25年9月24日
久々に地元千葉県内での庭つくりが続きます。依頼があれば全国世界中どこでも行くというのが我々のモットーですが、やはり、地元県内での仕事は気が楽です。
ブログの更新間隔がずいぶん空いてしまいました。まずは2週間前に竣工した千葉県木更津市に新規オープンする美容院エントランスの紹介です。
写真はエントランス前の木立です。
施工前、潤いのなかった店舗正面が、、
こんな感じになりました。これから木々は成長し、2年後には木々のトンネルの奥のエントランスとなります。
施工前のエントランス。建物だけでは空間は決して完成しません。
植栽スペース確保のための土留めと、エントランスの木製ステップ設置完了。
植栽仕上げ後。
エントランスポーチから足元の表情。
美しく、品よくすっきりとシンプルに。そんな美容室のテーマを外空間に表現してみました。
そして先週からかかり始めたのが千葉県市原市、木造平屋の住まいの庭です。平屋と言えども大きな片屋根が立ち上がり、東庭に面した大きな壁面を見せます。
やはり、ただ家が建つだけでは落ち着きません。
外周の見切りとなる木柵つくりから工事を始めます。
木柵のデザイン、色合い、素材共に、家屋の外壁のデザインに呼応させて、統一した空間を見切っていきます。
木柵による見切りが完成すると、それまで何の変哲もなかった周囲の緑が存在感を持って景色に取り込まれてきます。
この、周囲の緑を空間の広がりを感じさせてくれる借景として活かしながら、これから植栽してゆくのです。
庭は敷地内だけでは完成しません。家屋、周囲の雰囲気、よいものを取り込み、あるいはよくないものを遮蔽しながら、その場でしか表せない空間を演出してゆくのが、住空間の造園というものではないかと思います。
木柵が仕上がり、これから植栽はじめ、庭の造作にかかります。東に面した開口の多いこの家は、夏の午前中、強烈な熱気が窓を通して室内を熱してしまいます。
横から差し込む夏の日差しを和らげて、森の中にいるような室内からの景を、植栽によって作ってゆくのです。
そして今日、自社の植木畑で雑木の掘り取りです。庭の主木はなるべく自社で丹精込めて生産した雑木を用いたいものです。
自分たちで時間と手間をかけて育てた木々には愛着があります。それを用いることで、その庭に対する我々つくり手の愛着も増すのです。
自社の植木畑。ここではコナラ・クヌギ・モミジ・アカシデといった主木となる雑木を中心に育てています。
畑の一角、今年の冬に1年生のコナラの苗木を密植したコーナーです。
平均70センチ程度だった細い苗木が競争しながら伸びていき、半年経った今、背の高いもので2mに達しています。半年で1m以上伸長したことになります。
これらの苗木たちは、間引きや植え替え作業を繰り返した後、4年後あたりから主木としてそれぞれのお客様の庭へと嫁ぎ始めることでしょう。
自分で育てた木々を用いて、お客様の住空間を潤すというのは心地よいものです。
現場近くの諏訪神社にて、スダジイの巨木を拝します。大人4~5人でやっと手が回るほどの大木です。
一本で森を作ってしまうほどの巨木の神々しさ。
ある造園家の先達が言いました。
「造園という仕事は、天職を超えた神職と言える仕事だ。神と人との橋渡しをするのが我々の仕事。」
日々ささやかな仕事をこなすばかりの私にも、木々と相対していると、そんな言葉に納得させられます。木々の力は人を癒し、空間を潤し、そしてあらゆるものを浄化するようです。
お客様の住環境にそんな木々に包まれた空間をこれからも造り続けていきます。