庭造り

東京都世田谷区の造園外構工事    平成26年11月1日

 ここは東京都世田谷区、等々力渓谷にほど近い住宅地の一角、Mさんの造園外構工事がいろいろクライマックスを迎えています。
 裏庭側からかかり始めて、ようやく門と駐車場の外構工事にたどり着きました。
 門やアプローチなどの外構工事に先行して主要な高木は先に配してしまうのが、高田造園の工事方法です。あくまで、主要な木々の適切な配置をできる限り優先して、全体が心地よくまとまるように門や駐車スペースの配し方を調整してゆくのです。
 今回は昭和初期の洋館のような雰囲気を持つ建築に合わせて、モダンで丁寧な、当時の雰囲気や空気感をつくるべく、素材とデザインを吟味してまとめていきます。

 駐車スペースや接道との段差は版築で処理していきます。こうした敷地内の段差は、上部植栽地の土中環境をよりよい状態に育ちやすくするもので、庭はなるべくこうした高低を活かします。
 土留めに呼吸する版築塀とするのも、単にデザインではなく、土中環境の改善による、樹木の健康な生育を期してのことでもあります。
 コンクリートを用いて土中の呼吸や水を遮断してしまえば、土中に水脈気脈を生み出すせっかくの高低差も意味をなさなくなってしまいます。

 土中の呼吸や水の動きに配慮すれば、こうした段差の処理は本来、竹などのしがら柵や、あるいは石積みのような、空隙のある形のものが最適なのですが、そこはその場のデザイン性との兼ね合いで考えていく必要もあります。

真砂土・石灰・にがりを配合して付き固め、型枠を外すと版築独特の美しい地層文様が現れます。

 この、版築の上に、笠石をあてがっていきます。この笠石も、化粧柱も、この場に合わせた寸法で洗い出しでつくりました。
 素材はなんでも、その場に合わせて作り、あるいは見立てることが大切です。こうした外構素材は、安易な既製品を当てはめて構成しても、本当の意味で見ごたえのある品のよい空間は決して生まれません。
 土、石、木といった外構の3原則素材を基本になんでもその場に合わせて作ることが、大切です。

 真砂土洗い出し仕上げの笠石。呼吸する素材は年々その風合いを増していきます。

 笠石設置後の土留めの表情。

 1つずつ工程を進める度に門回りの景が美しく引き締まってきました。

煉瓦積みの門柱の笠石。微妙な水きり勾配と程よい厚さが門周辺を上品にまとめます。

 土、煉瓦、石を基本素材に、門扉もまた、木製造作していきます。なるべく安易な既製品、高価な素材など使わず、意匠に凝りすぎず、そして身近で手に入る土・石・木といった素材を基本に、素朴に一つ一つ丁寧に作ってゆくこと、それが飽きることのない生涯の美しい原風景を育てることに繋がる、そんな風景を提供していきたいと思います。

株式会社高田造園設計事務所様

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